CES 2020に「Fukuoka Smart EAST」と市内スタートアップ企業が出展!社会課題を解決するスマートシティを実現するために
2020年 03月 12日
様々な社会課題を解決し、持続可能で快適なまちづくりを目指すプロジェクト「Fukuoka Smart EAST」。福岡市ではプロジェクトを開始して以来、多くのスタートアップとともにスマートシティ化における実証実験を重ねてきました。そして2020年1月、米ネバダ州のラスベガスにて開催されたCESに、スタートアップ企業を含む地元企業4社とともに日本の自治体として初出展を果たしました。今回は、CES2020への出展背景と現場から見えたスマートシティの可能性についてレポートを交えてお伝えします。
自治体での単独出展は福岡市が初!『CES 2020』に参加した理由
多くの大企業や電子機器ブランドが多数出展するCESでは、新製品の発表だけでなく、各企業が未来を見据えたブランドビジョンの発表等も行われています。今年、出展企業のひとつであるトヨタが発表したあらゆるモノやサービスがつながる実証都市「コネクティッド・シティ」プロジェクトニュースをご覧になった方も多いのではないでしょうか?CES2020での「Woven City」に関する発表は、国内企業の中でも特に多数の来場者の注目を集めていました。
今回、私たちは福岡市が取り組んでいるスマートシティ化を推進するためのプロジェクト「Fukuoka Smart EAST」のPR、そして、市内の企業とスマートシティ分野の知見をもつグローバル企業とのビジネスマッチングを行うためにCESへの出展を決めました。同イベントにおいて、日本の自治体としては初めての単独出展ということもあり、4日間の会期中には非常に多くの海外企業との接点を作ることができました。
福岡市内のスタートアップ企業も出展
福岡市が現在取り組んでいるプロジェクト「Fukuoka Smart EAST」は、スマートシティ構想を実現するためのアイデアやソリューションを持つスタートアップ企業との連携が大きな鍵を握っています。今回は、「Smart East PoC Program」(※)に応募があった福岡市内のスタートアップ企業を含む3社(Kotozna株式会社 / 合同会社ネクストステップ / AUTHENTIC JAPAN株式会社)と地元企業とともにブース出展を行いました。
通常、スタートアップ企業だけではアイデアや技術を実際の「まちづくり」に落とし込むことができません。社会課題を解決するアイデアをどうやって「まちへ実装」していくべきか——福岡市では、国家戦略特区指定の強みを活かした連携体制を取ることで、スマートシティの実現を目指しています。今回のCESへの参加も、スタートアップ企業だけでなく行政とともに出展することで、まちづくりに取り組むスタートアップ企業に対してより有効なビジネスマッチング支援ができないかと考えました。
※「Fukuoka Smart EAST」において先進的な技術や革新的なビジネスモデル等に対し実証実験を行い、スマートシティの実現性を明らかにする公募プログラムです。
CESの展示ブースでは、参加企業とともにピッチを実施しました。各回のピッチを経て多くの来場者の方に直接プレゼンができ、「Fukuoka Smart EAST」が目指すまちづくりのビジョンや、福岡市を取り巻くスタートアップエコシステムの現状などをしっかりと伝えることができました。
他国のスマートシティプロジェクトとの違い。実証実験から見えてきたもの
CES来場者からは、「スマートシティの各分野別での出展企業は多いが、まち全体としてスマートシティに取り組み、その出展を行っていることは珍しい。さらに、福岡の中心地から非常に近い広大なエリアでスマートシティ(Fukuoka Smart EAST)を開発していることは非常に魅力である」との声もいただきました。
実際、他国におけるスマートシティ開発の事例では、都市の中心部から離れた郊外の土地を使うケースが多く見受けられます。一方、福岡市の場合は、ファッションビルやオフィスが集結している「博多」や「天神」といったまちの中心地からアクセスの良い九州大学箱崎キャンパス跡地が対象エリアに。さらに、実証実験が可能な50ヘクタールもの広大な土地を使って開発に取り組むことができるのも「Fukuoka Smart EAST」の特長のひとつです。
プロジェクト開始以来、開発拠点となる九州大学箱崎キャンパス跡地の周辺地域を活用し、様々なデモンストレーションや体験会が実施されています。「Fukuoka Smart EAST」が公募にて実施している「Smart East PoC Program」では、物流(ロジスティクス)の分野で自動配送ロボットの走行デモ、安全(セキュリティ)の分野でスマートフォンと自動翻訳ツールを使った災害避難訓練(※)など、多くの実証実験が行われています。昨年実施された移動(モビリティ)の分野における体験会の例をご紹介します。
Smart East PoC Program
CASE:自動運転バスの試乗体験会
「Fukuoka Smart East」の取組みの一環として、群馬大学と協力し、自動運転バスの試乗体験会を実施しました。使用した車体は、群馬大次世代モビリティ社会実装研究センターが開発した同大学所有の自動運転バスで、公道および貝塚公園にて運行と試乗会を行いました。試乗会には、地域住民の方にも参加いただき、開会式では高島市長より社会実装に向けた想いと乗車に関する安全性について説明をさせていただきました。
まち全体としてスマートシティに取り組み、福岡からモデルケースを
ICTやIoTを活用し、少子高齢化や災害対策などといった社会課題を解決することで、より暮らしやすいまちづくりを実現するスマートシティ構想ーー国内の先行事例となるような有効なモデルケースを福岡から発信していくためには、多くのアイデア、まちに実装していくための技術と推進力、そして実際に住む市民のニーズと理解が必要不可欠です。前述の実証実験でも、行政と事業者だけでなく、地域住民の方々にもご協力をいただきながら検証を進めています。
社会課題に真摯に向き合い、課題を解決するために本当に必要なソリューションは何か。そのために行政としてできることは何かーー実証実験を経て、未来の福岡の「まち」が少しずつ見えてきています。まずは、福岡から。ぜひ、「Fukuoka Smart East」プロジェクトの今後の動向にご注目ください!
Fukuoka Smart East推進コンソーシアム 事務局